井坂康志 著
内容説明
ポーランド、チェコ、ハンガリー――。
詩人がそこで出会ったものは先人たちが苦吟と悲哀とともに歩む一本の古道だった。
つめたい風景に自身の悲しい記憶を見た、名もなき魂の詩集である。
いつの世も、この世界は俗に従うことを潔しとしない人々に耐えがたい苦渋を強い続けている。
遠く海外に出て風景を眺めれば、いつしかひるがえって日常内部の回廊に深く沈潜する自分がいた。あるいは前進も後退もないのかもしれない。
龍や巨人の暮らす太古の大地から、ワルシャワ外れの森、墓地、そして昭和のひたすら暴力的な日常。
名もなき無名の死者たちとともに、詩人は一つの道を歩む。
それはどこまでも個人的な記憶でありながら、暗黒の歴史的跋渉、記憶の中の戦場である。
古道は今も世界を貫いている。
その道がどこからきてどこへ向かうのかは誰も知らない。
【主な目次】
Ⅰ 古道
私が天国にいたころ
枯れ野 ーー他12篇
Ⅱ 木漏れ日の歌
Tree Song 明日の歌をうたってる
君ありて幸福 ーー他17篇
Ⅲ 死と夢
入国審査
夢 ーー他12篇
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