◆「これ、明日ちょっとやってみようかな」と思える、小さなきっかけが
「へえ、こういう考え方もあるんだな」と、世界の見え方がほんのすこし変わる。肩に乗っていた見えない重りが、すっと軽くなるような瞬間。「あっ、この表現、好きだな」そんな出会いが、ページをめくるたびに訪れます。そして、読むうちに私の呼吸が、すこしずつ整っていく感覚をおぼえました。
専門家の難解な論争や、高尚な言葉は出てきません。その代わりに描かれているのは、私たちが日々繰り返している小さな日常の選択——待つこと、伝えること、迷うこと、決断すること。それらを改めてやさしく見つめ直す、そんな時間をくれるのです。
この本を手にとってほしい人は、心理学の専門書に疲れてしまった人、理論の長い階段を登る気力がどうしても湧かない夜を過ごしている人。そんなときには、ただ「めくるだけ」でいい。数ページの中に、「これ、明日ちょっとやってみようかな」と思える、小さなきっかけがそっと置かれています。
“心理学を読む”というより、“心理学を暮らしに使ってみる”そんな体験の第一歩を、自然なかたちで後押ししてくれる、やさしく頼れる心理学の本です。

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